Ⅰ)グラスコート佐賀の思い出とその素晴らしさ Ⅲ)グラスコート佐賀賛歌〜五感で楽しむテニス Ⅳ)佐賀県良いとこ一度はおいで -周ちゃん先生との出会い- Ⅴ)『グラスコート誕生秘話』 |
亀岡市立病院麻酔科 橋本朋子 江本会長よりご指名いただいたからには、少々忙しいと言って書かないわけにはいかない、と、手術室にパソコン持ち込んで、長々と続く麻酔科医泣かせのラパロの手術中に原稿を書くことにいたしました。と言っても決して麻酔をいい加減にしているわけではありませんので、患者様、外科の先生方、ご安心下さい。耳は常に心電図のぴっぴっと言う音にむけられていますし、一文書けば、ラパロのモニター画面をちらっと見やり、オペが遅々として進行していかないのも確認していますから。 さて、グラスコート佐賀のすばらしさを褒め称える文章を書くのは簡単ですが、皆さん同じような原稿になるのではないかと。そのすばらしさは体験した者全てが感じることで、体験したことのない人にはなかなかわからないものかも知れません。
今年の9月に原先生や、栃木の柴田先生たちと一緒にグラスコート佐賀でお世話になれる機会がありました。今回は初めて私の夫も参加することになりました。私はこれまで何度も行って、そのたびに、家へ帰ると、グラスコート佐賀がどんなに美しく、気持ちが良いかと言うことや、そこでできるテニスのおもしろさ、難しさなどをいつも話していました。でも、私としてはこれまでの苦労を考えると、夫がうまくボールについて行けるか、滑らずに走れるか、弾まないボール、滑るボールに反応できるのか、ものすごく気を揉んでいました。夫は私の相手をするべく、6年前からテニスを始め、週一テニスの割には結構上達しているのですが、原先生や柴田先生のような無茶苦茶うまい人と一緒じゃ、緊張しちゃうかなあ、うまくできなくても落ち込まないでね、グラスコートは私でも苦労したんだし、慣れるまでは誰だってうまくできないんやしね、とか、ともかくさんざんムンテラして、私の方がどきどきしていたわけです。
このように、夫のグラスコートデビューは期待を遙かに超えた上々の首尾に終わりました。そしてその夜。悟さん(夫の名前です)、今日、うまくできて良かったね、上手だったよ、初グラスコートにしては。それにしても、気持ちよかったでしょ、天然芝って。それに弾まないし、滑るし、難しいよねえ、それだけにおもしろさも倍増でしょう?走っても足が痛くならないのもすごいよねえ。足に優しいんだよね。前々から私がさんざん言ってた天然芝の魅力って少しはわかった?とたたみかけるように尋ねる私に、夫曰く。僕さ、テニスコートのサーフェスがどうのこうのって、ようわからへんわ。ハードコートもオムニも天然芝も特に何にも考えてへん僕には一緒というか・・・まあ、今日の所はすばらしい天然芝コートが天然ボケをそのまま受け入れてくれたってとこかな。天然芝は足にだけでなく天然ボケにもやさしいというこっちゃ。とか何とか私の期待した答えと程遠いところで本人はすっかり納得の様子で。はーっ?なんやのそれ。もっと感動してよ!もっとグラスコートのよさ、厳しさを議論しようよ!私のこのハイテンションは何処へ納めたらいいの?・・・・夫の天然芝コートデビューを無事終わらせ、興奮冷めやらぬまま、なかなか寝付けない私を横に、あーつかれたなあ、ねむ。といってさっさといびきをかく夫でありました。(私と夫のいつもの会話パターンをご存じの方には納得の結末ですね・・・・。) 天然芝コートは、頭で考えすぎず、自然体で向き合うのがコツのようです。というか、テニスは頭でするものとの思いこみは私をがちがちにし、ぼーっとありのままの素直な夫はのびのび天然芝を楽しめた、ということでしょうか。 普段から天然ボケの夫が天然芝コートに温かく包まれた、楽しい一日でした。グラスコート佐賀、ありがとう!! (これは天然芝コート賛歌と言えるか?ただのおのろけ文か?との批判が聞こえるような。お粗末様。) |
…………………青森県むつ市 ちば小児アレルギー科クリニック 千葉喜代志
まず「視覚」ですが、あの素晴らしい「天然芝の緑のコート」は、目に優しくもあり、一方6月の新緑の最もきれいな濃緑の芝は強烈なインパクトも与えてくれます。きれいに整備されたテニスコートが十数面広がっている光景は圧巻でもあります。ゴルフでいえば有名な「マスターズ」のコースに匹敵するあるいはそれ以上ではないかと思います。「マスターズ」のコースもフェアウェイや周辺の木々や草花そしてバンカーの白砂、池の色濃い緑を背景にしてグリーンの緑色がとてもきれいですが、バンカーや池には人工的に着色がなされていて硬い印象を受けます。対照的にグラスコート佐賀で受ける視覚的な刺激はナチュラルで、とてもソフトに網膜に映し出されるものです。 初めて訪れた時、台風通過後で晴れ上がった空から差し込んで来た太陽光線は、きらきらと輝き一瞬南の島のリゾートを思い出させる程でした。その日射光線を受けてきらめくように乱反射する芝の美しさも印象に残っています。 夕暮れ近くのやや落ち着いた暗色のみどり色も気持ちを落ち着かせ、心を穏やかにしてくれます。 このように季節や天候、時間などにより刻々とあるいは様々に変化する「天然芝の緑」はとても魅力的であり、癒しの効果があると思います。 次に「聴覚」ですが、真っ先に思い出されるのは「澄んだ打球音」ではないでしょうか。クラブ全体にとてもきれいで澄んだ音が響き渡ります。スイートスポットで打った「パ〜ン!」、強打の「バッ、コ〜ン!!」、会心の当たり「ス、パ〜ン」など、いずれも心地良い音です。 初めて天然芝コートに立ちボールを打ち合った時、耳に聞こえてきた打球音は躰全体を突き抜けていくように響き渡って来ました。ラリーが続く時の快感は、大好きな音楽を聴きながら躰全体でリズムを刻む時の気持ちよさに匹敵する程です。 また周囲を田園に囲まれていることもあって耳障りな雑音や騒音が聞こえてきません。そしてクラブのスタッフの皆さん、そこに集う人々の会話の声も落ち着いたやさしい口調であり、突発的な嬌声などなく気持ちが安らぎます。 ジュニアの選手達も礼儀正しくて、「おはようございます!」「こんにちは!」と見ず知らずの私に対しても躊躇なく挨拶をしてくれることの、なんと清々しいことでしょう。 ロッカールーム入り口の壁に書かれている創設者の言葉を目にする度に、テニスの原点であるマナーに関して「ちゃんと理解して実践していますか?」と語りかけられているように感じております。 「嗅覚」は、朝の散水後や雨あがりに芝の上に立った時地面から上がってくる芝と土のにおいでしょうか。すこしこもったような何ともいえない新鮮な匂いです。アスファルトやビルに囲まれている場所とは違った「活きている」ことを感じさせてくれる匂いです。 またクラブハウス内では、薫り高いコーヒーの香りも楽しめます。 「味覚」といえば、クラブハウスメニューのおいしいカレーやおそばなどにいつも胃袋が刺激されています。プレイ後(中も?)のキリッと冷えたジョッキビールは、アルコール好きな方にとっては何ともいえない喉ごしではないでしょうか。 そして何よりも、クラブ全体に「魅(力ある)格(式)」が漂っていて、プレイヤーを迎えてくれるホスピタリティを味わえることが最良の「味覚」だと思っています。
最後に、たくさんの魅力を持ち、プレイするたびに新たな感動を与えてくれる「天然芝コート」と、そのコートを維持・運営されている「グラスコート佐賀」の皆様に感謝したいと思います。 viva、「グラスコート佐賀」!! 永遠なれ、「グラスコート佐賀」!!! |
愛知県名古屋市 (鈴鹿回生病院) 中村光治 大阪府医師テニス協会の皆様こんにちは、名古屋の中村です。 日頃から個人戦、団体戦などで仲良くしていただき感謝しています。 時々は大阪府医師テニス協会のホームページの掲示板にも書き込みさせていただいていますし、自分のホームページには全日本医師テニス大会の成績なども掲載していますので興味のある方はご覧下さい。 今回は江本会長からのご依頼もありましたので、私の知る範囲でグラスコート佐賀テニスクラブ(旧ウインブルドン九州テニスクラブ)の天然芝コートとそのオーナーである緒方周先生を紹介させていただきます。 といっても結局私と佐賀の天然芝コートとの出会い、かかわりの紹介がほとんどで、自己自慢になってしまうかも知れませんがお許しください。
平成13年の福岡での世界医師テニス大会では林茂興先生と組んで緒方・矢住ペアと対戦させていただきましたが、緒方先生は手抜きとか、ほどほどにとかの言葉をご存知ないらしく、1-6、0-6と手も足も出ませんでしたし、試合後も恐れ多くてお話は出来ませんでした。 ところが幸運にも平成17年に佐賀で全日本医師テニス大会が開催されることが決定し、直接緒方先生から大会運営の相談を受けるようになってから個人的なお付き合いが始まりました。またその頃、元全日本チャンピオンでデ杯選手の小西一三氏のレッスンを週1回のペースで受けられるという幸運も重なりました。小西先生は「グラスホパー全国ジュニアテニスin佐賀」というジュニア育成企画の大会実行委員長も務め、緒方先生とは旧知の間柄であるばかりでなく、周先生の息子さんやお嬢さんにも直接テニスの手ほどきをしていました。私は周先生と小西先生の両方から佐賀の天然芝の情報を得ることができる様になりました。最初の印象とは違って実に礼儀正しいばかりでなく、ユーモアと優しさあふれる先生だということがわかりました。丁度その頃、今回投稿されている深水先生のお力もあって、平成17年秋の佐賀大会の前に、一度練習をとの話が持ち上がり、平成17年の6月に小西氏も交えて全国のテニス仲間と天然芝でテニスする機会を得ました。初めてみる芝生に感動したことは勿論ですが、天然芝でのテニスは想像以上に難しく、土や人工芝と違って基本に忠実なテニスを要求されるので、自然と無駄がなくなっていくような印象を持ちました。そしてその練習が効いたのでしょう。秋の大会では桂木昌子先生とのミックスで優勝、林茂興先生とのダブルス3位、シングルス準優勝という思わぬ好成績を挙げることが出来ました。懇親会でやすきよコンビを披露した周先生のサービス精神にお腹を抱えて大笑いした先生方も多いことと思います。
さて写真の女性は誰だかわかりますか?
皆さんもこんな素敵なクラブをぜひ一度訪れてみてください。緒方ファミリーと親切なスタッフが優しくお迎えしてくれることを保証します。そして、きっと新たなテニスを発見されることでしょう。余裕のある方は会員になられて、アフターテニスをマイカップのコーヒーでゆったりとくつろぐなど至福の時を味わってみてください。 |
…………………佐賀県医師テニス協会
若い頃、陸上の十種競技をやっていた父は、佐賀で内科・精神科を開業し、現役選手引退後は選手育成に燃え、診療の傍ら20名近くの若手陸上選手を居候させ、スパルタ指導に力を注いでいました(月刊陸上競技:連載26・陸上つわもの列伝掲載)。そんな父の情熱がなぜテニスの世界へも向かって行ったかというと、中学時代にその原点がありました。 福岡県・久留米市の明善中学(現・明善高校)に通い、陸上の練習に明け暮れていた頃、テニス部に在籍していた同級生、故・隈丸次郎氏(全日本選手権四連覇、デビスカップ選手・監督)との運命的な出会いがあったのです。お互い純粋にスポーツに取り組む姿勢に、尊敬の念を覚え、卒業後も交流が続いていました。 陸上競技の指導は続けながら、これからはテニスだ!と考えるようになり、私達子供にはテニスをさせながら、世界への夢が膨らんでいったのでした。
テニスの殿堂といえば英国の芝のウインブルドン。そこで活躍する選手を育てたい!しかし、日本には芝のコートは無い、それなら創ろう! 考えるよりも行動するのが早い父でしたので、すぐにイギリスに飛び、ウインブルドンを視察したついでに、こっそりと芝の一部を失敬し(時効?)、鞄の中に忍ばせ帰国。陸上競技の親友であり、当時、佐賀大学農学部の教授であった野中福次先生と佐賀の気候に適した芝を研究、自宅にコートを作り試行錯誤を繰り返し、1975年に現在の場所に開場したのです。 その後は皆さんもご存知とは思いますが、1977年からは全日本ローンコート選手権、国際女子サーキット、全日本ローンコートベテランなど数々の大会を開催してきました。 近年では、文部科学省・総務省のスポーツ拠点作り事業に、テニスでは全国唯一選ばれ、2005年から『グラスホパー全国ジュニアテニスin 佐賀(夢はウインブルドンへ)』が10年間の予定で開催されています。各地域の予選を勝ち抜いた男女128名の小学5~6年生が1週間滞在し,芝のコートで毎日試合を行い、夜は講師を招いてテニスの技術面だけでなく、精神面、知識、常識、マナー、社会性なども含めて育成する滞在型の大会です。この大会の影響で、全国的に佐賀方式を取り入れようという動きも見られ、着実に成長発展を遂げています。 ところが、2007年1月、突然、英国のウインブルドンテニスクラブ(The All England Lawn Tennis and Croquet Club)から「提携関係があるかのように混同される恐れがある」と名称変更を求められました。 我々としては、憧れの存在であるウインブルドンに一歩でも近づきたいと頑張ってきたので、正直、驚き戸惑いました。しかし、世界的にはほとんど無名の佐賀の小さなテニスクラブが、あの偉大なクラブに認知されるまでに成長したのだと前向きにとらえ、2008年2月、名称を『グラスコート佐賀テニスクラブ』に変更しました。これを機に、今後も芝とテニスを愛する人や、世界を目指す子供達を全力で支援していきたいと考えています。 (2008年現在所有面数:天然芝コート16面、砂入り人工芝コート3面、ハードコート2面) 最後に、当クラブの精神的な源となっている言葉を紹介し、稿を終えたいと思います。
|